「ドイツ装」ってどんな製本様式?

ドイツ装とは表紙の背の部分と平の部分に別の素材を使った継ぎ表紙です。
1984年4月に、製本工房リーブルで「豆本セット」全10巻の企画、販売を始めました。そのうちの「尾崎放哉句抄」(第9巻)でそれまで馴染のなかった継ぎ表紙の技法を取り入れました。それが「ドイツ装」です。
実は、当時この継ぎ表紙には独自の名称がありませんでした。何か新しい名称をと考えていたところ、フランスではこの仕立てを「Bradel Allemand」(ドイツ式くるみ製本)と呼んでいると聞いたので、「ドイツ装」と名付けることにしました。
ドイツ装は背表紙と平表紙がそれぞれ独立しているので、布、紙、革などの素材だけでなく木材、金属、陶板、アクリル材なども表紙に用いることができ、いろいろな装丁が楽しめます。


背をくるむ表紙とオモテ・ウラの表紙が別素材で仕立てられているのがドイツ装

表紙が本体の背から内側に引っ込んでいて、段差がある特殊な製本です。
製本過程に技術を要する製本です。

表と裏、別仕立ての表紙をベタ貼りします。

表紙を貼りつけるのも刷毛を使用し、ずれがないよう注意しながらの手作業になります。そこでも技術が必要になります。

ドイツ装は、基本がコデックス装と同じですので、ノド元まで180度平行にしっかり開きます。ぱっと目を引く製本でもあります。

また、背をくるむ部分とオモテ・ウラの表紙の素材の組み合わせでも印象がガラリと変わるので、様々な意匠を凝らすことができます。
ドイツ装はデザイン性を発揮できる製本様式といえると思います。